原作は、 フィリップ・ジャン が 2012年 に上梓し、 アンテラリエ賞 を受賞した小説『 Oh... 』(邦訳:『エル ELLE』松永りえ訳、 早川書房 、2017年)である。 監督 . 撮影. もっと見る. 登録はこちら ↓https://www.youtube.com/channel/UCODxT2Ea0y5IlqtUnYxhPPg 岡田斗司夫公式HP↓http://blog.freeex.jp 岡田斗司夫の解決ズバッと!! 自宅で覆面をした男にレイプされ、警察に届けることなく淡々と犯人捜しを始めるゲーム会社の女社長ミシェル(イザベル・ユペール)と、元夫、疎遠になっている父親、母親とその若すぎる恋人、親友、不倫相手、息子とその恋人という彼女を取り巻く人間関係を描いた『エル ELLE』。衝撃的かつ変態的な内容で物議を醸した作品ではあるのですが、ミシェルと一筋縄ではいかない家族のやり取りなど思わずクスリとさせられるシーンも多く、暴力と共存するこのライトなトーンには意表を突かれます。 「 … Minami. This summer, sit back and dream of Mars: https://t.co/Hnh9luhlEi pic.twitter.com/glL9unQKNI, — National Space Centre (@spacecentre) January 12, 2020, クエイド役のシュワルツェネッガーが鼻から追跡装置を引き抜いたり、大柄の女性の顔が割れた中からシュワルツェネッガーが出てくるといった、ロブ・ボッティンによる特殊撮影シーンが特徴の本作。, 監督の前作『ロボコップ』にもあったバイオレンス描写は、シュワルツェネッガーが主演ということでパワーアップ。, 一般市民を巻き添えにした銃撃戦や、躊躇なく敵に斧を振り回し、容赦なく腕をもぎ取るなど、そのエクストリームさには思わず笑ってしまうほど。, 『氷の微笑』(1992)、『ショーガール』(1995)などの次作に登場する、バーホーベンが追い求める“タフな女性”像も、本作ですでに描かれています。, また、クエイドが「これも夢かもしれない」と呟きながらメリーナと抱き合ったと同時に、画面がホワイトアウト(白く覆われる)するラストも話題に。, 「ホワイトアウトは、観客にもこの結末が真実なのか夢なのか判別させないという演出」、「ホワイトアウトした瞬間にカッコウのさえずりの微音が入っているのは、“目覚め”や“朝”の暗喩」、「クエイドが見る火星の青空も、リコール社にあったプログラム『火星の青い空』によるもの」など、さまざまな謎かけがされています。, 本作『トータル・リコール』が全世界でヒットしたことを受け、製作会社のカロルコは続編を企画したこともあります。, それは、ディックの原作短編『少数報告』をアレンジし、同じシュワルツェネッガー主演、バーホーベン監督で映画化するというものでした。, その企画は最終的に立ち消えとなるも、原作自体は後年、スティーブン・スピルバーグ監督、トム・クルーズ主演で『マイノリティ・リポート』(2002)として映画化されています。, 今年2020年にはアメリカで公開30周年の記念イベントも予定されるほど、本作は今観ても驚くほどのパワフルさに満ちた作品となっています。, Tags : アメリカ映画 / 東宝東和 / 1990年公開 / ポール・ヴァーホーベン / 松平光冬 / すべての映画はアクションから始まる, 『バーバラと心の巨人』の感想と評価。結末ラストで少女は中二病を克服したのか|最強アメコミ番付評11, こんにちは、野洲川亮です。 今回はグラフィックノベル『I Kill Giants』(2008)の映画化した『バーバラと心の巨人』を紹介します。 「ハリー・ポッター」シリーズのクリス・コロンバスが製作総 …, 映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』あらすじと感想レビュー。キャスト清原果耶の才覚を活かした藤井道人監督の意欲作|2020広島国際映画祭リポート1, 広島国際映画祭2020 特別招待作品『宇宙でいちばんあかるい屋根』 作家・野中ともその人気小説が原作の藤井道人監督の映画『宇宙でいちばんあかるい屋根』。 家族のさまざまな境遇にまつわる変化や将来に迷う …, 映画『怪談新耳袋Gメン 孤島編』心霊現象の怖いスポットをドキュメントした先に待つものは⁈|夏のホラー秘宝まつり:完全絶叫2019④, 2019年8月23日(金)より、キネカ大森ほかで開催される「第6回夏のホラー秘宝まつり2019」。 「夏のホラー秘宝まつり」に欠かせない作品といえば、おじさんたちが心霊スポットに殴り込みをかける、ガチ …, 連載コラム「新海誠から考える令和の想像力」第4回 新海誠監督の過去作をたどることで、「ぼく」が「きみ」との関係を保つために、他者を征服しない“弱さ”が土台になっていることがわかりました。 (C)Mak …, 『仮面ライダー鎧武』感想評価とキャスト紹介。高杉真宙&佐野岳らの魅力×名キャラクターたちが勢揃い|邦画特撮大全60, 連載コラム「邦画特撮大全」第60章 今年2019年10月25日から劇場公開される『超・少年探偵団NEO –Beginning-』。江戸川乱歩の『少年探偵団』シリーズを翻案した作品で、主人公の小林少年役 …, 以下、赤文字・ピンク背景のエリアには『トータル・リコール』のネタバレ・結末の記載がございます。本作をまだご覧になっていない方、ストーリーのラストを知りたくない方はご注意ください。, シンエヴァンゲリオン|ネタバレ感想解説とあらすじ結末。ラスト最後にシンジが語る“希望”と有力考察の真相とは【終わりとシンの狭間で5】, シンエヴァンゲリオン考察ネタバレ|マリエンドの意味と正体“イスカリオテのマリア”という代母像を探る【終わりとシンの狭間で7】, シンエヴァンゲリオン考察解説|アスカの式波シリーズと惣流の謎×ケンスケとの絆×使徒化の伏線を考察【終わりとシンの狭間で6】, シンエヴァゲリオン考察|ループ説解説=“否定”という庵野秀明の贖罪ד決別”という再会の願い【終わりとシンの狭間で8】, エヴァンゲリオンQ|ネタバレ解説考察と感想評価。最後ラストシーンで希望の“前進”を描くシンジとファンの“qual”の物語|終わりとシンの狭間で4, 映画『ブレイブ群青戦記』ネタバレ感想評価とラスト結末。三浦春馬×新田真剣佑が漫画原作の歴史SFアクションを熱演|映画という星空を知るひとよ55, シンエヴァ考察解説まとめ|ウルトラマンへのオマージュなど新劇場版シリーズを映像表現から再考【邦画特撮大全84】, シンエヴァンゲリオン|タイトル読み方/意味考察。ラストは:||とシン=進が示す《繰り返しと前進》【終わりとシンの狭間で3】, 【シンエヴァンゲリオン考察】予告編を解説1:コア化の意味と“赤色”なき世界の真相は|終わりとシンの狭間で1, 映画『花束みたいな恋をした』ネタバレあらすじと結末の内容解説。最後までキャスト菅田将暉×有村架純が共感させるラブストーリー. 「ポール・バーホーベン」の略歴、フィルモグラフィー、『キネマ旬報』の記事をチェック! - 主なフィルモグラフィーは「エル ELLE(2016)」、「ハリウッドがひれ伏した銀行マン」、「ポール・ヴァーホーヴェン トリック」ほか。 Amazon Advertising 商品の露出でお客様の関心と 反応を引き出す: Audible(オーディブル) 本は、聴こう。 最初の1冊は無料: アマゾン ウェブ サービス(AWS) クラウドコンピューティング サービス Amazonアウトレット 訳あり商品を お手頃価格で販売: Prime Now 好きな時間が選べる。 「ポール・バーホーベン」の作品情報や特集、ニュースなどの一覧 . ポール・バーホーベン(Paul Verhoeven、1938年7月18日 - )は、オランダ・アムステルダム出身の映画監督。 Copyright © 2000-2021 CINEMATODAY, Inc. All rights reserved. キャラクター創造. 脚本. 日本公開を控える新作から、カルト的評価を得ている知る人ぞ知る旧作といったアクション映画を網羅してピックアップする連載コラム、『すべての映画はアクションから始まる』。, 第18回は、1990年公開のアーノルド・シュワルツェネッガー主演作『トータル・リコール』です。, 【キャスト】 ポール・バーホーベン. 脚本. エロ&グロで批判殺到!変態監督ポール・ヴァーホーヴェンはなぜ問題作を作り続けるのか?, 『ラブ・アクチュアリー』『パイレーツ・ロック』『アバウト・タイム』さようなら、ありがとう!リチャード・カーティス監督, 『ロボコップ』「NCIS:LA」のミゲル・ファーラー死去 ジョージ・クルーニーのいとこ. アメリカでは劇場公開時に過激な暴力シーンや性的シーンが問題となりNC-17指定で公開された。 バジル・ポールデュリス. 菊地浩司. ヨスト・ヴァカーノ. ホーム; ニュース; 特集・連載; インタビュー; 予告編・動画; 写真; 映画短評; Related. フィリップ・K・ディックの短編小説『追憶売ります』を、『ロボコップ』(1988)のポール・バーホーベン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演で1990年に映画化したSF大作。当時のアクション映画界で大人気を誇っていたシュワルツェネッガーのアクションと、バーホーベン監督のエクストリームなバイオレンス描写が絶妙にマッチし、全世界で大ヒットを記録します。, 共演に、バーホーベン監督の次作『氷の微笑』(1992)でのセンセーショナルな演技で、90年代のセックス・シンボルとなるシャロン・ストーン。そのほか、マイケル・アイアンサイド、ロニー・コックスらが脇を固めます。特殊メイクや視覚効果を手がけたロブ・ボッティンが、アカデミー賞を獲得。2012年には、コリン・ファレル主演でリメイク版も製作されました。, 西暦2084年、地球で結婚8年目になる妻ローリーと暮らすダグラス・クエイドは、毎晩行ったこともない火星の夢を見てうなされていました。, 地球の植民地となっていた火星では、現地でエネルギーを採掘し、酸素を販売する会社の総督・コーヘイゲンに対する、クワトーという謎の人物が主導する反乱分子たちとの紛争が多発していました。, それでも夢が気になるあまり、体験したことのない旅行の記憶を販売する、リコール社のサービスを受けるのでした。, リコール社で、火星で自分がスパイになり、ブルネット色の髪を持つ美女と共に悪党と闘うという記憶を植え付けてもらったクエイド。, ところが、施術前に無意識に暴れ出したダグラスを診断したところ、彼の脳裏には、すでに火星にいたことがあり、何者かによってその記憶を消されていることが判明。, トラブルを恐れたリコール社によって、客として訪れた記憶を消されたクエイドは、タクシーに乗った状態で追い出されるのでした。, タクシーを降りたクエイドは、土木作業員である同僚たちに突如襲われますが、難なく彼らを倒してしまいます。, ローリーと彼女の恋人リクターに追われ、ホテルに逃げ込んだクエイドは、そこで謎の男からカバンを受け取ります。, カバンの中にあったモニターに映ったのは、自分と全く同じ顔のハウザーという男でした。, ハウザーは、「自分はコーヘイゲンの部下であり、スパイとして反乱分子たちに紛れ込んだが、分子メンバーである女性と恋に落ちたことで、コーヘイゲンを裏切った」と語ります。, そして、反乱分子たちと共にコーヘイゲンの野望を打ち崩すために、火星に行くよう告げるのでした。, 逃亡したクエイドは、ハウザーから託されたカバンにあったカードを使ってホテルに入室し、ハウザーが預けたという物を受け取ります。, 中に入っていた「最後の楽園」というパブ店のチラシの裏には、「メリーナを指名して」と記されていました。, ベニーという名の運転手のタクシーに乗り、到着した「最後の楽園」があるスラム街は、火星の異常気象により、満足な生活を送れない者たちが住んでいました。, 指名して現れたメリーナは、夢に出てきた女性と、そしてリコール社でリクエストした女性と同じ容姿でした。, 自身の現状を伝えたクエイドですが、メリーナに疑われたことで追い出されてしまいます。, 男は、「君は現実には火星にはおらず、まだリコール社で夢を見ている」とし、その夢から覚めるため薬を飲むようにと告げます。, しかしクエイドは、男の顔に汗が出たのを見て射殺するも、ローリーとその部下たちによって捕まります。, それは、火星で50万年前にエイリアンが作ったリアクターを作動すれば酸素を作り出せるも、コーヘイゲンがその存在を隠していたというものでした。, ところが、クエイドを連れてきたタクシー運転手ベニーの裏切りによりクアトーは殺され、クエイドはリクターに囚われの身となってしまいます。, コーヘイゲンの元に連行されたクエイド。そこでコーヘイゲンは、クアトーの居場所を掴むため、ハウザーの記憶を消してクエイドという人間にしたことを明かし、クエイドをハウザーに戻そうとします。, しかし、クエイドとして生きることを望み、記憶を消される寸前に脱出、メリーナとともにリアクターのある場所へと向かいます。, 妨害しようとしたコーヘイゲンを倒し、リアクターを作動させたことで、火星に酸素が戻ります。, 赤から青に変わった火星の空を見上げながら、「これも夢かもしれない」と呟いたクエイドは、メリーナとキスを交わすのでした――, 本作『トータル・リコール』の脚本は、1970年代にすでに執筆されていたとされます。, しかし、なかなか映画化には至らず、80年代に入っても、多くのプロデューサーの間でたらい回し状態となっていました。, そこに、『ターミネーター』(1985)、『コマンドー』(1986)などの大ヒットアクション映画で飛ぶ鳥を落とす勢いだったスター、アーノルド・シュワルツェネッガーが目を付けます。, 彼は、シルヴェスター・スタローンの「ランボー」シリーズ(1981~85)のヒットで、やはりハリウッドに新風を巻き起こしていた映画会社カロルコの創業者マリオ・カサールとアンドリュー・ヴァイナに、映画化権を買うよう進言。, また、当初『ザ・フライ』(1986)のデヴィッド・クローネンバーグが監督候補だったのを、『ロボコップ』の出来映えを気に入ったシュワルツェネッガーの希望で、ポール・バーホーベンが指名されます。, シュワルツェネッガーは、プロデューサー的役割を務めた本作によほど思い入れがあったのか、2012年に出版した自叙伝のタイトルにも『Total Recall』と付けています。, 本作の原作となる、1966年発表のフィリップ・K・ディックの小説『追憶売ります』(後年に『トータル・リコール』に改題)は、文庫本にして40ページ程度の短編です。, 原作は、大まかなあらすじこそ映画と同じですが、最大の違いは、主人公クエイド(原作では「クウェール」名義)が火星に行かない点です。, 火星での反政府運動家であるという記憶を持ちながら、自分の妻が政府のスパイであり、その彼女を自分が殺したのではないか?というさらなる記憶をたどっていくという、サスペンスドラマとなっていきます。, 忌まわしい記憶をなくそうと新たな記憶を何重にも入れ、もがいていく主人公を描いているあたり、「自分は何者なのか」、「自分の存在意義とは何か」といった物語を繰り返し発表してきたディックらしいテーマといえましょう。, とどのつまり、映画版は原作よりもアクションとSF要素を強めて、見せ場を増やしています。, 一方、2012年にコリン・ファレル主演で製作されたリメイク版は、より原作に忠実な内容となっています。, Loosely based on the Philip K. Dick short story “We Can Remember It for You Wholesale”, Total Recall hit the big screen 30 years ago. Loosely based on the Philip K. Dick short story “We Can Remember It for You Wholesale”, Total Recall hit the big screen 30 years ago. エドワード・ニューマイヤー. (高橋源一郎)そうそうそう。でもね、いわゆるエンターテインメントじゃないんですけど、この世界を真っ向からぶった切っている感じが。ある視点からね。っていう感じがあってですね。後味はいいような、悪いような。 (高橋ヨシキ)後味はでも、いいと思いますけどね。僕は割と爽やかな後味だと思ったし。あと、コメディーとして作ってあるので。 (藤井彩子)ジャンルで言うとコメディーなんですか? (高橋ヨシキ)まあ、そうは言わないですね。ブラックコメディーですね。 (高橋源一郎)ま … Writer. オランダ出身のポール・バーホーベン監督は、映画『ロボコップ』でアクション&バイオレンスに溢れまくった衝撃映像を生み出し、一躍ハリウッドのヒットメーカーへと昇り詰めました。そんなバーホーベン監督の背景を考察! 「ロボコップ」「トータルリコール」のポール・バーホーベン監督が母国オランダで撮った久しぶりの新作。冒頭の数分のカットのみ撮影して公開、その後のストーリーを一般… 『ショーガール』(英: Showgirls )は、1995年のアメリカ・フランス 合作映画。ポール・バーホーベン監督。. 公開当時、その人体破損描写で既存のSFアクションとは一線を画した『ロボコップ』(1987)、際どい演出で一世を風靡した『氷の微笑』(1992)、そして悪名高き『ショーガール』(1995)と映画ファンに愛されながらも、批判が殺到する問題作を作り続けてきたポール・ヴァーホーヴェン監督が最新作『エル ELLE』を引っ提げ、来日しました。御年79歳のヴァーホーヴェン監督ですが、『スターシップ・トゥルーパーズ』(1997)の男女混合シャワーシーンではヌードになることを嫌がるキャストに手本を示すべく、自ら全裸になったという逸話が象徴しているように、インタビューでも元気! ダンディー! そしてめちゃくちゃエネルギッシュ! アメリカでは製作不可能だったという『エル ELLE』の裏話から、『ショーガール』でたたかれまくった過去、自身が考える“いいアート”の定義まで語り尽くしました。(取材・文・構成:編集部・市川遥), 自宅で覆面をした男にレイプされ、警察に届けることなく淡々と犯人捜しを始めるゲーム会社の女社長ミシェル(イザベル・ユペール)と、元夫、疎遠になっている父親、母親とその若すぎる恋人、親友、不倫相手、息子とその恋人という彼女を取り巻く人間関係を描いた『エル ELLE』。衝撃的かつ変態的な内容で物議を醸した作品ではあるのですが、ミシェルと一筋縄ではいかない家族のやり取りなど思わずクスリとさせられるシーンも多く、暴力と共存するこのライトなトーンには意表を突かれます。, 「確かにこの映画にはライトで、笑える層がある。その多くは、撮影をしているときに生まれたものだ。もちろん基になったフランスの小説にもそうした要素はあって、脚本で少し強調したのだが、俳優たちがそれを認識したことで多くの部分が生まれた。それでちょっと面白くなったんだ。もちろん椅子から転げ落ちるような笑いではないが、ニヤリとしてしまうようなね。人々は登場人物たちが奇妙なやり方で互いに対処し、つながるさまを面白く思うのだと思う」, イザベルの洗練された演技がそのトーンを生み出すのに一役買っていることは言うまでもありませんが、ヴァーホーヴェン監督は、映画のスタイル、キャラクターとそのモチベーションといったことについてはイザベルと話さなかったそうです。「衣装や髪型(笑)、立ったり座ったりというステージングや振り付けについてはたくさん話したけどね。だけどミシェルの考え、思い、といったことは一切話さなかった」と振り返ります。, 「だからイザベルは、彼女自身で“ライトで笑える層”が存在することを完全に認識していたと思う。あるものを彼女がどんな表情で見ているかで、僕たちはそれを感じることができる。例えば病院で、息子の交際相手が赤ちゃんを産んだシーン。息子を見る彼女のクローズアップが来るわけだけど、そのシーンは面白いよね(笑)。彼女は真面目くさった顔をしているけど、イザベルは絶対にあれが面白い瞬間だと気付いていたよ。彼女はそのシチュエーションが面白いと気付いているから、その可能性を含めて演技をしているけど、おかしくするためにオーバーに演技したりしない! 彼女は知性ある女優だから、こういう風にしてほしいなんて頼まなかったがね」, 第2次世界大戦開戦前年の1938年7月18日、オランダに生まれ、爆弾が降り注ぎ、死体が転がるハーグで育ったヴァーホーヴェン監督にとって、“暴力”は身近に存在しているものでした。本作でのミシェルのレイプシーンも暴力そのもので、この時彼女が感じた恐ろしさがあまりにリアルに感じられるからこそ、その後突飛な行動を取る彼女を観客はある意味、受け入れられるのです。, 「フラッシュバックのシーンは極めて暴力的だ。40秒ほどでとても短いが、レイプは暴力で犯罪だから、ものすごく暴力的に描こうとした。あの場面で起きていることは、人を撃ち殺すような、そういう暴力行為なんだ」, オープニングではすぐには何が起きているかわからず、後に明らかになるという構成も効果的でした。原作も主人公がレイプされた後のシーンから始まります。, 「脚本に取り組んでいるとき、オープニングで全てを見せてしまおうかと思ったが、見せない方がずっと興味深いと気付いた。なぜなら何が起きたかを知るときには、観客は彼女のことをよく知っていてよりショックだから。もしオープニングからレイプシーンだったら、ジェームズ・ボンド映画みたいだったと思う。ジェームズ・ボンド映画ってそういうのから始まるよね。悪く言っているわけじゃないが(笑)。観客が好むような暴力で映画を始めると安っぽく、芸術的じゃない。アメリカ映画の模倣品みたいだ。だから小説で書かれているように始めることにした。最初に全貌は見えず、後に明らかになるという形でね。それは正しい決断だったと思う」, 『エル ELLE』はフランス映画として製作されました。物議を醸す内容の本作を、ポリティカル・コレクトネス(政治的・社会的な公正さ)に過剰なまでに気を配る今のハリウッドで作ることはやはり不可能だったのでしょうか?, 「やってみたんだよ。プロデューサーのサイド(・ベン・サイド)から小説を受け取り、アメリカ人脚本家デヴィッド・バークのところへ持って行ったのは、アメリカ映画として作ろうと思ったから。それが最初の計画だった。だが脚本が仕上がってみると、資金調達の面から、それ以上に人材獲得の面からそれが不可能だとわかった。誰もこのプロジェクトに関わろうとしなかったんだ。アメリカで6、7人トップ女優に声を掛けたが、みんな拒否した。レイプシーンではなく、第3幕で起こることが問題だった。ミシェルの“あの行動”がね。だから『アメリカでこうした映画が作れたと思うか?』という質問の答えは、『頑張ってみたけど、だめだった』ということだ(笑)」, しかし、そのことが結果的にはいい風に働いたとヴァーホーヴェン監督は満足げに語ります。フランスの名女優、イザベル・ユペールをミシェル役にキャスティングすることができ、彼女は第74回ゴールデン・グローブ賞女優賞をはじめとした映画賞に輝く名演を見せたからです。, 「今は、そもそもアメリカ映画にしようとしたのがバカだったと思う。実際この映画はとてもヨーロッパ的だからね。フランスの文化とフランスの人々は、この映画を擁護してくれた。もしアメリカで作ったとしたら、『氷の微笑』のようなテイストの映画になってしまったと思う。この映画ではそんな風には全く感じないでしょ? だから、アメリカ映画にできなくて、僕たちはとてもラッキーだった。僕たちに起きたことで最も素晴らしく、重要なことは、イザベルがこれをやりたいと思ってくれたことだ。彼女はとても大胆な女性だ」, ヴァーホーヴェン監督自身は「ポリティカル・コレクトネスなど気にしない」と断言しますが(そりゃそうだ)、そうした映画は確かにアメリカで作りづらくなっており、それ以上に、パーソナルな作品が作りづらくなっているそうです。, 「ただスタジオが望むものを映画にすると、自分が空っぽになったように感じるんだ。『インビジブル』(2000)を撮影しているとき、これはわたしがしたいことではなく、スタジオがしたいことをしていると感じた。だから身を引き、もっと知的で、芸術的なことをやろうとしてヨーロッパに戻った。それで『ブラックブック』(2006)や『エル ELLE』をやったんだ」, その理由は、ハリウッド映画は1億~3億ドルといった莫大な製作費で作られ、スタジオはいかなるリスクも回避する傾向にあるから。『スターシップ・トゥルーパーズ』の時点で(製作費約1億ドル・約110億円)、ポリティカリー・インコレクト(政治的・社会的に不公正)な作品を作ることはほとんど不可能になっていたといいます。それでも作ってしまったわけですが。(1ドル110円計算), 「『スターシップ・トゥルーパーズ』のヒーローやヒロインはある意味ファシストだったから、当時の観客は完全に混乱していたよ。『スター・ウォーズ』のようなSFではなく、ヒトラーのためにレニ・リーフェンシュタール監督が作ったドキュメンタリー『意志の勝利』を基にした“アメリカ社会はファシズムへ傾倒していく”という可能性を示した作品だったから。それが、僕たちが表現したことだ。そう信じているかは別としてね。でも実際、この映画は僕よりも賢かった(笑)。911が起こったり、トランプが大統領になったり、ある意味リアルになったわけだから。この映画は、公開されたときは確かにポリティカリー・インコレクトだった。今は皆そういう風には思わないと思うが。でも当時そうした映画を作ると、ポリティカリー・インコレクトということでたたかれたんだ」, 過剰なエロやグロ、道義的に問題のあるとされる作品を次々に発表し、『ショーガール』が、その年の最低映画を表彰するラジー賞を総なめにした際には、ラジー賞史上初めて授賞式に参加するという豪胆ぶりを見せたヴァーホーヴェン監督ですが、「人々を動揺させよう、怒らせようと思って映画を作っているわけじゃない。本当に違うんだ。時には本当に予期していなかったこともある。だから動揺させるためにやっているのではなく、自分自身の表現をしたら、ただそうなってしまったわけさ」と熱く語ります。, 「だから『ショーガール』であんなにたたかれるなんて思っていなかった。あれは、アメリカ人の視点から見たら完全にポリティカリー・インコレクトだったんだ。正直に言ってあの結果がわかっていれば、たぶんあんなことはしなかったのに。人々があんなに『ショーガール』を受け入れられないなんて気付かなかった。ヌードがOKだと思ったわけじゃないけど、ショーガールは胸を見せるものでしょ! だからOKだと思った。それが人生だから。もしベガスに行けば、こんな感じなわけでしょ。ヌードの女の子たちがいるんでしょ! それが現実だからOKだと思った。だけど、映画では全く受け入れられないことが判明した。だから人々を動揺させる、怒らせるというのは、時には“もしかしたらそうなるかもしれない”とわかるかもしれないけれど、したくてするもんじゃない。だって自分が被害者になるわけだから。自分のビジョンの被害者になりたい人なんて誰もいないでしょ?(笑) それは僕が興味を惹かれる部分ではない」, 「『ショーガール』を作ってめちゃくちゃたたかれて、次の年はもう最低だった。僕はブラックリストに載せられ、『スターシップ・トゥルーパーズ』や『インビジブル』といったSFしか作ることを許されなかった。『ショーガール』以降は普通の、SFじゃない映画が作れなくなってしまったんだ。誰もお金をくれなくなった。彼らは怒っていたから」, 『ロボコップ』や『トータル・リコール』(1990)での成功実績があったため、SF作品は作り続けることができたものの「それ以外のノーマルな映画では全く信用してもらえなくなった」と自らの黒歴史を振り返りますが、達観したヴァーホーヴェン監督はこう続けます。, 「ポリティカル・コレクトネスが果たす役割はあるが、僕はそれを考慮に入れない方がずっと大胆だと思う。自分自身を、自分のキャリアを傷つけるリスクを取らないといけない。リスクを取らないなんて、やっている意味がない。『ショーガール』も『スターシップ・トゥルーパーズ』もやったのは、今までやったことのないようなユニークなものだったから。自分の選択がもたらした結果と共に生きていかないといけないんだ」, そして昨今のハリウッドのトレンドは、大ヒットを前提にしたスーパーヒーロー映画の量産。『ロボコップ』ではヒーローを執拗なまでにズタズタに引き裂いたヴァーホーヴェン監督は、このトレンドをどう見ているのでしょうか?, 「人々が好むようなそういう映画は観ていない。2~3億ドル(約220~330億円)で作られる映画で、業界が考えるのは収益のことだけだよ。2億ドルかけて作り、1億ドルかけて宣伝。そうしたら10億ドル(約1,100億円)稼いでトントンだ。だから、なるべくリスクを少なくするというのが重要になる。そうした映画を作るんだったら、観客を動揺させないようにしないといけない。挑発的であってはダメだし、ポリティカリー・インコレクトではダメで、世界を邪悪に描いてはいけない。業界が考えているのは、勝つこと。全ては金だ」, 「『エル ELLE』の製作費は800万ドル(約8億8,000万円)というハリウッドでは取るに足らない額で、こっちが何をしようが誰も気にしない。でも『スーパーマンvsスパイダーマン』(!)は観客みんながハッピーに! という感じで作らなくてはいけない。そうでしょ? これは僕の意見だが、こうしたことは映画をつまらないものにしている。もちろんテクノロジーの革新は大きく、大部分をデジタルで作ることができ、巨大なスペクタクルを生み出すことができる。でも、常にポリティカル・コレクトネスに左右され、観客を喜ばせなくてはいけない。彼らは映画館を出たら『いい夜だね』と言うわけだから。それが、彼らが求めているものだ」, スタジオの言いなりではなく、パーソナルな、今まで観たことのないような映画作りを追求したヴァーホーヴェン監督。それこそ、結果的には問題作と呼ばれる作品を作りつづけてきた理由でした。, 「僕は“いいアート”とは、時に心をかき乱すようなものだと思うし、そういうものであるべきだ。それは観る者を動揺させ、怒らせなくてはいけない。確かにアートは“美”だが、“美”だけであるべきではない。矛盾があり、人々を動揺させ、彼らに違う考えをさせるものであるべきだ。彼らを不安にすべきだ。僕はいいアートは挑発的で、大胆で、ちょっと平手打ちのようなものであるべきだと思う」, (C) 2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS- TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINEMA - ENTRE CHIEN ET LOUP. ポール・バーホーベンのおすすめ映画ならレビューン映画 「インビジブル」「氷の微笑」「スターシップ・トゥルーパーズ」「トータル・リコール」「ロボコップ」等、ポール・バーホーベンの人気映画から新作映画まで全7作品を、人気の高い順に一覧表示しています。 音楽. Source: Saïd Ben Saïd(1, 2) B! ポール・バーホーベン監督の『エル elle』を鑑賞。主演はイザベル・ユペール。ポール・バーホーベン。この監督名を知らない人でも『ロボコップ』『氷の微笑』『トータルリコール』『スターシップ・トゥルーパーズ』…これらの作品は知っている方が多いだろう。 観客に謎を残すポール・バーホーベン演出 参考資料:『トータル・リコール』公開30周年記念イベント. ロボコップ ブルーレイコレクション【Blu-ray】 - ピーター・ウェラー - ポール・バーホーベン - DVDの購入は楽天ブックスで。全品送料無料!購入毎に「楽天ポイント」が貯まってお得!みんなのレビュー・感想も満載。 ポール・バーホーベン監督最新作『ベネデッタ』2021年5月に仏公開 ─ 『ロボコップ』『スターシップ・トゥルーパーズ』の鬼才監督 . 作品データ. マイケル・マイナー. ロブ・ボッティン. 製作総指揮. ジョン・デイヴィソン. ポール・ヴァーホーヴェンとは、 大学時代より映画に興味を抱きはじめ、60年に短編“Een hagegis te veel”を撮る。アムステルダム・アカデミーの映画コースに入るが、授業内容が気に入らず放棄。大学卒業後は兵役に就き、軍のドキュメンタリーなどを撮った。 ポール・バーホーベン(Paul Verhoeven、1938年 7月18日 - )は、オランダ・アムステルダム出身の映画監督。 名前の発音はオランダ語ではパウル・ヴァーフーヴェ(ン)([ˈpʌul vərˈɦuvə(n)])となる。 字幕. アーノルド・シュワルツェネッガー、レイチェル・ティコティン、シャロン・ストーン、マイケル・アイアンサイド、マーシャル・ベル、ロニー・コックス, 【作品概要】